名前の玉手箱ヨリ
2009年 06月 22日
中学卒業記念の印章を実印欄に押そうとする次男に、実印の持つ重みを説いたら、翌日「実印を注文してきたので、四万円貸して欲しい」と言う。四月分の初任給から返すと言う。「オレの倍もする実印を作りやがって!」と声を荒げると「オヤジを超えたいから」と返ってきた。無一文の高卒生が五万円の負債を背負って社会人への一歩を踏み出した。返された紙幣を畳に広げ、しばし諭吉の顔に二男を重ねていた。
by art-hans
| 2009-06-22 17:53
| 名前の玉手箱